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起きて半畳、寝て一畳

過去のブログで道元の「正法眼蔵(しょうぼうげんぞう)」の現代語訳(増谷文雄 講談社学術文庫)を読んでいると書いたが、これが遅々として進まない。
1割くらいは何とか分かり、4割くらいは何となく分かったような気がするのだが、半分くらいは分からない。
まるで現代物理学の世界(こちらはもっと分かっていないのだがW)のようだ。
たしか全8巻だがまだ1巻目の半分くらいだ。果たして読破できるものかどうか自信がない。
それはともかく、最近,東京新聞に「起きて半畳、寝て一畳」というコラムが連載されていてこれがなかなか面白い。
東京新聞に50歳まで勤務した記者が退職し、おそらく生家のお寺を継ぐために僧侶の修行を始める話だ。
ちょうど今ぼくが読んでいる道元の開いた曹洞宗の僧侶の修行ということで僕の目に止まったわけだ。
今日はその4回目だが、1回目からはこちらで読むことができる⇒東京新聞(TOKYO Web)
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前のブログにも書いたが、トイレについては「正法眼蔵(しょうぼうげんぞう)」の中で1巻(洗浄)を費やして説かれているほどだから、大変重要なことなのだ。だからトイレ掃除も極めて重要な修行に違いない。
トイレの話ではないが道元の「典座教訓」という本に、道元が中国(宋)に留学して初めて会った現地の僧侶の話がある。その僧侶はお寺で台所の仕事をしている僧侶だった。
少し長くなるが、面白くかつ重要なので増谷文雄氏の「正法眼蔵(しょうぼうげんぞう)」から引用する。

道元禅師が「典座教訓」を書いたのは、嘉禎三年(1237)の春のことである。とすると、その文中の老典座との出会い(貞応二年、1223)を去ること足かけ15年のころのことである。それなのにその文中にみえる道元と老典座との会話は、まるで眼前に見るがごとき趣がある。おそらく道元禅師は、あの会話をそのままに憶えていたにちがいあるまいと思う。それほどその対話は道元禅師にとって印象深いものであったはずであるからである。
それは道元禅師を乗せた船が慶元府に着いて、その積み荷を売りさばくために、まだそのまま船泊りしている時のことであった。阿育王山(あいくおうさん)から椎茸を買いにきたという老いたる典座をとらえて、道元禅師は会話を始めた。しかるに、その会話はいささか食い違いを生じてきた。
「座尊年、なんぞ座禅弁道し、古人の話頭を看せずして、煩わしく典座に充てて只管に作務す。甚(なん)の好事か在る」
典座とは禅院の台所方を務める者の謂いである。道元禅師には、その典座がいい年をして、そんな仕事に一所懸命であるのが、どうも納得できなかった。なぜもっと禅をしたり、語録を読んだりしないのか。それが若い道元の詰問であった。すると相手は、可可大笑いしていった。
「外国の好人、未だ弁道を了得せず、未だ文字を知得せざることあり」
ずばりといえば、外国の若いお方は、まだ仏教が何か、お解りになっていないようですねということであった。その一句をわたしも忘れることができない。その一句を初めて読んだ時には、わたしは、あたかもわが腹中を指さして語られているような思いをしたのである。
老典座はまだ若い道元禅師に、あんたはまだ仏教がなにか解っていなさらぬようだといった。道元禅師は「はっ」として、「如何にあらんかこれ文字、如何にあらんかこれ弁道」と取りすがった。だが、老典座はそれには何も答えてくれなかった。
「若しを問処(もんじょ)を蹉過(しゃか)せずんば、豈(あに)その人に非ざらんや」
そこを躓(つまず)き転びながら、自分で突破してゆかねば、本物にはなれませぬわい、という意味のことばである。道元禅師はいうまでもなく、本物の仏教を知りたいと思って、海を越えていたったのである。だが、道元禅師にとって、仏教の本質把握という課題がはっきりと結晶したのは、その時であったと思われる。

この話は曹洞宗では有名な話のようだが、ぼくも実にいい話だと思った。
現代の資本主義社会では食事を作るとかトイレを掃除するとかは誰かが当たり前にやってくれるという風に考えるが、家庭では主婦(主夫?)、会社では給食会社や清掃会社のパートのおばちゃんたちが一生懸命やってくれているのだ。(余談だが、ぼくは50歳を過ぎたころから会社のトイレを一生懸命掃除してくれる清掃会社のおばちゃんを見て、ぼくもこのように見える形で社会に貢献したいと本気で思ったものだ。)
話を戻すと、道元が言いたかったことの重要な点は仏道修行は座禅をするだけではなく、食事を作ることや食べること、排泄することや掃除することなど生活全般に及ぶということなのだろう。
ぼくも今は定年退職して主夫をしているのだが、主夫業を修業と考えて、改めて一所懸命励みたいと思う。

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